振動療法


川平法(促通反復療法)は脳の可塑性を利用した運動学習です。脳はやったことしか学習しません。ですから随意運動が実現しなければいけません。

 

それには脳卒中片麻痺の陽性徴候である痙縮は大いなる阻害因子です。川平法を行う前に痙縮を抑制して他動的な可動範囲を確保する必要があります。川平法では痙縮を抑制するのに振動療法を用います。

 

痙縮筋は振動により一過性に抑制されることが知られています。生理学的には筋紡錘の興奮による脊髄反射で、シナプス前抑制といわれています。脊髄よりも上位中枢の関与も考えられています。

 

振動機器は市販のマッサージ器(スライブ)を使用します。

 


痙縮筋を伸張位にして、少し圧迫するようにしてマッサージ器のヘッドを当てます。はじめは緊張性振動反射が出現して、痙縮筋はかえって緊張します。伸張位にした筋長の短縮を許さないように保持したまま当て続けると、緊張が弱まってきます。早くて1分、長くかかっても5分あれば緊張が低下します。

 


筋緊張低下の持ち越し効果は30分ほどです。

緊張が低下している間に、川平法を行いましょう。

 

まれに振動による摩擦熱でスキントラブルがおこることがありますので、皮膚に直接当てないようにしてください。衣服の上あるいはタオルを1枚介在させて行うとよいでしょう。