1.川平法のメカニズム

①川平法で麻痺が治るメカニズム:脳の可塑性

川平法では麻痺した手足が動くようになります。

 

動くようになるには理由(メカニズム)があります。

それは脳の性質によるものです。

その性質とは、脳の可塑性です。

 

末梢神経と呼ばれる手足の神経は再生能力を持っています。

神経が切れても、そこからまた新たに再生してのびていくのです。

 

ところが中枢神経である脳は再生できません。

その代わり、再生能力の代わりに神様が与えてくれた性質があります。

それが脳の可塑性です。

 

脳の可塑性とは。

たとえば脳で10個の脳神経細胞が手足を動かす働きをしていたとします。

そのうち1個が脳卒中で死んでしまいました。

再生しませんから、生き返りません。

だから手足の動きが悪くなります。

そこで死んでしまった1個の働きを残りの9個が分けて代わりに働くことにします。

いままでおこなわれていた手足を動かすという働きの形式を変更するのです。

形が変わることができる性質=可塑性 です。

 

しかし残りの9個は死んでしまった1個のしていた仕事をしたことがありません。

新たに覚えなおさなければいけません。

すなわち学習しなければいけません。

手足の動かし方を学習するわけです。

 

それを学習させるのが川平法だと思ってください。

川平法は脳の可塑性を利用した運動学習です。

②川平法で麻痺が治るメカニズム:運動学習

川平法は脳の可塑性という性質を利用した運動学習です。

麻痺した手足を再び動かせる機能を脳に学習してもらうのです。

 

一般的な運動学習のことを考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

たとえばゴルフをはじめましょう。

本を読んで、想像しているだけで、うまくなりますか?

テレビを見て、まねをして、素振りしているだけで、うまくなりますか?

うまくなろうと思ったら、実際にボールを打たなければだめですよね。

ボールを打ち、うまく飛んだときの体の使い方を覚えていかないとだめです。

 

脳はやったことしか覚えません。

うまくなろうと思ったら、どうにかしてうまく飛ばさないとだめです。

手足が動くようになりたっかたら、どうにかして自分で動かさないとだめなんです。

 

そのために介助者の助けを借ります。

介助者は、反射を利用して動かしやすくして助けます。

それが促通です。

 

川平法は、促通をきっかけに運動を実現し、それを脳が学習していくのです。

 

③川平法で麻痺が治るメカニズム:神経回路の強化

川平法は脳の可塑性を利用した運動学習です。

麻痺した手足を再び動かせる機能を脳に学習してもらうのです。

脳に覚えてもらうのです。

 

そうすると覚えるための時間は多ければ多いほどよいわけです。

 

時間は、回数×頻度×期間 です。

 

まず1度におこなう1つの運動の回数。

手足をうまく動かすことができたら、それを何回も繰り返して覚えてもらいます。

川平法では1つの運動を最低50回繰り返します。

できれば100回、200回と多ければ多いほどよいです。

 

ですから促通反復療法というのです。

 

反復することで、脳と筋肉との間の神経回路が強化されます。

すなわち脳から命令の電気信号が流れやすくなってきます。

実際に、神経細胞が大きくなったり、神経線維が太くなったりするそうです。

 

川平法では、1つの運動を50回~100回、繰り返し反復します。

こんな当たり前のことが、従来の治療ではおこなわれてなかったのです。

 

なぜおこなわれてなかったのでしょう。

それは、そんなことをおこなえば治るということを誰もわからなかったからです。

川平法ではじめてわかったのです。

④川平法の原理:三位一体

川平法は患者さん本人が麻痺した手足を動かしたいと思って動かす方法です。

でもいくら動かしたいと思ってもうまく動きません。

それは脳がどの神経に命令を送れば手足の筋肉がうまく動くのかがわからないのです。

 

そこで介助者が促通ということをしてやります。

反射という生理現象を利用して、手足の筋肉を動かしてやります。

するとどの神経に命令を送ったらよいかが、脳が理解します。

 

その神経にどんどんと命令を送りはじめるのです。

何回も繰り返せば、だんだんと命令を送る要領がよくなってきます。

 

そうして神経回路が強化されれば、もはや促通は必要なくなってきます。

患者さんが思うだけで手足が動くようになってきます。

 

患者の動かそうとする意思

介助者がおこなう促通

実際におこる手足の動き

 

この3つが三位一体となり、麻痺がよくなっていくのです。